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「花巻ブドウ会議in有楽町」へー1

2018年
11月22日(木)
 10月5日の夜。有楽町は雨だった。
 前の日にあわてて買った紫のぺたんこパンプスが、意外と痛い。
 向かうは東京交通会館6階「LEAGUE有楽町」。
 イベント名は「花巻ブドウ会議in有楽町
 
 数日前に鈴木寛太さんからお誘いがあった。
送られてきたチラシは、意外にも字がびっしり。
講演を依頼した鈴木寛太さんご本人に会える、というのと、どうやらふるさと・大迫のぶどうについて話し合う、ということなので、行かずばなるまい。
         「花巻ブドウ会議in有楽町」
                開催のおしらせ
 平成30年9月27日
                         特定非営利活動法人東北開墾
花巻と大迫町を愛するすべての皆様、ぶどう&ワイン好きの皆様へ
 70年以上の歴史を持つ、花巻市大迫(おおはさま)町のぶどう栽培と、ワイン醸造、国内外で高い評価を受けていますが、高齢化、近年は担い手不足で栽培面積が減少しています。NPO法人東北開墾は、花巻市と共同でぶどうとワインの文化を支えるファンクラブ・関係人口創出の事業を開始いたします。
  関わると楽しい、ぶどう栽培や収穫、そして生産者さんとの交流に、地域内外の多くの方に関わっていただきたいと考えています。
 そのキックオフとして、有楽町で「花巻ぶどう会議」を開催します。当日は事業ご説明に加え、3年前に大迫に東京から移住し、今年からぶどう農家として就農した鈴木寛太君をゲストに迎え、大迫の今と、ぶどうの魅力を語ってもらいます。そして、今が旬の大迫のぶどうとワインの試食会も予定しています。ぶどうとワインを楽しみながら、新しい地域づくりについて語り合いましょう。 (後略)

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会場で配布されたチラシ(表)。

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            会場で配布されたチラシ(裏)
 あ、在京大迫人会の会長もいらした(私が声をかけたら来てくれた)。
知ってる顔が一人でもいると、ホッとする。
 会費500円と、懇親会1500円を支払い、名刺を出す。なんだかとってもオシャレな「ワイン好き」っぽい方々がいっぱい。盛況。(60人!)
 前方にステージがあって、登壇者2名と司会の女性がもう準備されている。私は前から3列目の椅子に座った。
 あ、ステージでニコニコしてる方が鈴木寛太さんだ。私はステージに歩み寄って、ご挨拶した。うちの会長も紹介した。寛太さんは、想像以上に笑顔が素敵な人で、ちょっとホッとする。
 
 18:30イベントスタート。
 司会は瀬川さんという女性。東北開墾のスタッフだ。
 花巻市の職員で東北開墾担当の阿部氏のご挨拶。
 これは花巻市と、NPO法人東北開墾がスクラムを組んだ、大きな事業なのだということが理解できた。そして、鈴木寛太さんもキーパーソンなのだ、ということも。
 いよいよ鈴木寛太さん登壇。

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 鈴木寛太さん。ご自分が栽培しているぶどうを手に。
 
 そもそも東京から何故花巻へ?から話は始まった。
 
 鈴木寛太さんは1991年(平成3年)生まれ。両親とも東京人。
 自身は大田区出身。
 きっかけは東日本大震災。大学生時代、震災ボランティアで4年間で7回も岩手を訪れているうちに、岩手への想いがたちがたくなった。
 大学を卒業し、一旦はIT企業に勤めていたが、2015年花巻市が第一期の「地域おこし協力隊」(任期は3年)を募集していたので、会社は1年ちょっとで辞め、そこに飛び込んだ寛太さん。
 「地域おこし協力隊」での話は私が一番聴きたかったことだ。
 
 地域おこし協力隊としての最初のミッションは、
花巻市大迫町のぶどう農家117戸を個別訪問し、聞き取り調査をすること。
 最初は新手の詐欺を疑われたり、まず言葉がわからなかったりと、かなり苦労したようだが、だんだん信用され話を聴けるようになった。信頼され、話を聴けるようになると、逆にお茶やお菓子などでもてなされてしまい、1戸に3時間もかかったり・・・117戸全戸聴き取りを終えるまでに半年かかったという。
 
 117戸聴き取りしてわかったこと。
 大迫町のぶどう農家は、超高齢化。9割が60歳以上。75歳以上が46%。
後継者は「いない」「不明」が、合わせて8割以上。
 しかし「ぶどうは続けたい」という強いプライドがみなさんある。
 一方で「ぶどうは儲からないから、子供には継がせたくない」
という複雑な心情がわかってきた。また、大変辛抱強い方々でもあるので、あまり他から手を借りたりしてこなかったのだ。
 寛太さんの根気強い聴き取りから、初めて大迫町のぶどう農家の問題がはっきりした。
 
 ぶどう作り隊➡まず岩手大学に「ぶどう部」を
 花巻市大迫町のぶどう農家が高齢化している問題は深刻で、花巻市大迫町もぶどう栽培を手伝ってくれる「ぶどう作り隊」を募集したり、という事業は起こしていた。しかし、なかなか突破口を開くことに繋がらなかった。そこに、丁度鈴木寛太さんが登場したのである。
 寛太さんは、まず岩手大学の農学部の学生たちと交流し、「ぶどう部」を作った。「ぶどう部」の学生たちは花巻市大迫町のぶどう農家に入って、実際に農作業を手伝ったりして、農家と交流した。寛太さんは、農家と学生たちのコーディネート役になった。
 大迫町では、祭りの時以外は日中町を歩いている若い人は、ほとんどゼロ(寛太さんくらい)。そこにぞろぞろ若い人が来るようになっただけで、町は活気づく。
 「今度は誰が来るの?」
と、期待されるようになった。
 ぶどう作りは魅力ある産業。
 今日本のワインはブーム。北は北海道から沖縄まで、ワインは作られている。山梨がなんといっても歴史があるけれど、大迫もぶどう作りに適した土地と、当時の県知事のお墨付きをもらい、北海道の十勝ワインに習って、コツコツと努力してきた。今では全国的に、いや世界にも誇れるワインに成長した。
 
 平成28年には、30人大迫町に入ってぶどう作りを始めた(うち、法人は6つ)。佐藤さんという方は、2年前60代で大迫町でぶどう栽培を始めた。寛太さんは、新しく大迫町でぶどう栽培を始める人と、地元の農家をコーディネートしたいと考えた。
 
 早池峰一座(ちんどん屋)に加わり、地元の人々と交流。
 寛太さんは、町に溶け込むため、まずチンドン屋・早池峰一座に加わった。このチンドン屋は、大船渡のチンドン屋に習い、宿場のひな祭りを盛り上げるために誕生した、比較的新しい試み。町の芸達者な人々がボランティアで行っているが、大変人気で、今では大迫だけではなく、花巻市の他地域にも出張するようになった。
 また、あんどん祭りでは「上若組」の山車作りを手伝うようになったそうだ。

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     早池峰一座に加わっている時の寛太さん。現在はサックスを練習しているそう(「ぽらーの花巻」(JA岩手花巻の広報誌)2018年10月号より)
 地域おこし協力隊(任期3年)を卒業して
 3年の任期を終え、随分迷ったが、
「花巻全体が変わってきている。それを見てみたい」
との想いが強く、寛太さんは花巻市大迫町に留まることに決めた。
 そして、大迫町の桝沢(ますざわ)の一軒家を借り、「かんたはうす」を作った。そこは彼の住居でもあり、農業体験施設。なんと宿泊もできるのだ。
 一方で、肩書きは「地域おこし協力隊」から「花巻市地域支援員」と役職名は変わったが、花巻市大迫総合支所の職員として、足元を固めた。と、同時にぶどう農家となる決断をして、10Rの農地を手に入れた。今では生食用とワイン用のぶどう(キャンベルやロースラーなど)を作っている。
 実際のぶどう作りは例えば収穫して農協に出す前に選別作業などを一人で行うのは大変。ぶどうの収穫時は花巻市の仕事を終えてぶどうの作業を一人ですると、4時間睡眠になってしまう。でも、それらは単純作業が多いので、収穫の時に手伝ってくれる人がいると、とても助かる。ぶどうやワインのファンの人達が、作業に参加することで、お互いにいい循環ができるのでは?というのが、寛太さんの願いであり、花巻市や大迫町の願いだ。

 鈴木寛太さんの3年間の活動を知ると、とてもしなやかに、軽やかに地元の方と交流し、時に大胆に新しい試みをしていることに驚かされる。
 大迫人は(岩手人全般に言えるかもしれないが)、おしゃべりな人を警戒し、外から来る人にあまり心を開かない所があると思う。
また、一方でお酒を介しての飲み二ケーションは盛ん。アルコールが入ると、一気に距離が近づく。
 寛太さんの偉いところは、地道な聴き取り調査(今まで花巻市がしてこなかった)をコツコツとしつつ、お祭りにも参加し、ちんどん屋にも飛び込み、かつ新しいことを思いついて迷わず行動したことだ。
 私は大迫町に生まれたけれど、なかなかこのようにはいかない。どこかで逃げている。生活の基盤が東京にあるからだ。
 だから、寛太さんには「ありがとう」と同時に「申し訳ない」気がするのだ。
花巻市は、寛太さんのマンパワーを活かしつつ、花巻市大迫町のぶどう農家を元気にする仕組みを考えた。それが今回のイベントの主題だ。
 もう一人の登壇者・NPO法人東北開墾代表の高橋博之さんが迫力あるお話を始めた。
 つづく

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