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 「速記交流会」へ行ってみた

2017年
9月20日(日)
台風が過ぎてお彼岸になってグッと秋らしくなりました。

いささか遅くなりましたが、ご報告。

この夏、珍しいイベントに参加してきました。
速記交流会」です。
8月6日(日)、場所は国立オリンピック記念青少年総合センター(略して「オリセン」)

なぜ速記?

Kouryuukai02

きっかけは以前にご紹介した「文學の國いわて」という本。日本の速記を始めた田鎖綱紀(たぐさり こうき)は盛岡出身、と紹介されていました。
岩手県人としては恥ずかしいことに田鎖綱紀を知らなかった私。

速記関係の方にとっては、もちろん常識でした。

私のブログなどを通じて速記関係者のMさんとお知り合いになり、

『近々「速記交流会」がありますよ。』

とお誘いがありました。

Img_0516

国立オリンピック記念青少年総合センター

小田急線参宮橋下車 徒歩7分

1964年の東京オリンピックの選手村の跡地に建設されました。

S_img_0527

私は「速記」に関しては、「国会でお仕事している方」のイメージ。

どんな風に速記しているのか、興味がありました。

「前半は初心者向けですから」

と、Mさんの優しい言葉に背中を押され、図々しくもオリセンのセンター棟の某室を訪ねました。

夏休みなので、小学生の女の子も参加。ロマンスグレーのベテラン風の男性も、若い女性もいる、全体的に和やかな雰囲気。

テーブルごとにグループに分かれて座っています。私は大阪から参加された若い女性と、ベテランの男性と一緒。

もう交流会はスタートしていました。

1.各方式による速記デモンストレーション

正面の黒板に模造紙が4枚貼られ、4つの方式の速記者が前に出て、朗読する方の言葉を聞きながら、速記していきます。

Img_0518_2

まず、速記符号を見るのは初めてだったので、独特の流れる線に驚きました。そして、様々な方式があること、それぞれに特徴があることなどを知りました。

皆さん、ちょっと照れながらも自分の方式で淀みない線で書いていきます。

2. みんなで楽しく速記&早書き大会

私は早書き大会に参加しました。

朗読者が読み上げる文章を、とにかく素早く記録していきます。

1分間に200文字くらいのスピード。

文字がどんどん簡略化されてきます。手が疲れてくる。

ここで「あ!」と気がつきました。

速記じゃないと絶対無理だ!

人が話す言葉が1分で280〜350文字として、ひらがなで書く速さは、せいぜい50〜60字。

速記の一級は、320字を書けるとのこと。

3.高速度速記デモンストレーション

3つの流派の方々が前に出て、1分間350+αの文字を、書いていきます。その模様を動画で撮りましたが、個人情報上、ちょっと載せられないので、こちらでどうぞ。↓

速記一級レベルの方(早稲田速記)

https://www.youtube.com/watch?v=DLpJwDy3zxg

衆議院記録部 国会の速記

https://www.youtube.com/watch?v=_Q2xD9SycAI

お昼の時間になりました。展示を拝見しました。

まず、青い色のポスターが目に入りました。

Img_0742_2

より綺麗なポスターは、こちらに↓

http://www.sokki.or.jp/wp-content/uploads/leaflet.pdf

日本の速記130周年 『速記の日』展示・講演会

ー田鎖綱紀と速記 130年の歩みー

開催日: 平成24年10月28日(日)

会場: 盛岡市先人記念館 地下ホール

主催: 公益社団法人 日本速記協会

後援: 盛岡市教育委員会

詳細はこちら「公益社団法人 日本速記協会」のHPに↓

http://www.sokki.or.jp/news/994/

東日本大震災があった年に、盛岡でこのようなイベントがあったそうです。

田鎖綱紀が明治15年10月28日に日本傍聴筆記法講習会(第一回)を開いたことに由来して10月28日は「速記の日」となりました。

そしてこのポスターは、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を10種類の速記で順に書かれたものなそうです。

Img_0522

※クリックすると拡大します。

符号解説はこちらに↓

http://www.sokki.or.jp/wp-content/uploads/kaisetsu.pdf

このイベントでは、田鎖綱紀とともに田中館愛橘(たなかだて あいきつ)が紹介されていました。
田中館愛橘は、安政3(1856)年、現在の岩手県二戸市に生まれた地球物理学者。
田中館愛橘は、ローマ字論者で、明治18(1885)年にヘボン式ローマ字から、五十音図に基づいた、日本式ローマ字を考案しました。
大正8年(1919)年、第一次世界大戦後のフランス、ベルサイユ会議で使われていた速記機械グランジャンをローマ字会へ持ち帰りました。
ローマ字運動家に日本語の機械速記の開発の課題を与えました。

つまり岩手には「速記」の歴史に大変重要な方が2人もいらっしゃるのです。
この「速記の日」イベントは、東日本大震災で意気消沈している岩手人を、勇気づけたことでしょう。

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田鎖綱紀

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                  田中館愛橘

イベントでは、お二人の先人の功績とともに

三遊亭円朝と「怪談牡丹灯籠」〜速記本の消長と言文一致運動〜
と題して講演も行われました。
明治18年、当時大人気だった三遊亭円朝の落語「怪談牡丹灯籠」を、田鎖綱紀の弟子若林柑蔵らが、速記して出版された「怪談牡丹燈籠」は、大変評判になると同時に「速記」の存在が大いに広まりました。

それから「速記本」が大流行して、それは二葉亭四迷や山田美妙らの「言文一致運動」につながります。

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「怪談牡丹灯籠」三遊亭円朝 作(岩波文庫)

速記した若林柑蔵の「まえがき」が載っています。

社会派推理小説の作家・松本清張も、専門の速記者・福岡隆とともに数々の作品を生んだそうです。

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「人間・松本清張 専属速記者九年間の記録」福岡隆 著(大光社)

「日本の黒い霧」に始まり、主な作品では「霧の旗」「わるいやつら」「砂の器」「けものみち」「黒い手帳」「Dの複合」など、どれも名作ばかり。

ちなみに松本清張は田鎖綱紀を主人公にした「電筆」という短編も書いています。

松本清張が短編のネタに困っていた時、福岡氏が「田鎖綱紀について書いたらどうでしょう?」と勧めました。福岡氏は田鎖綱紀の孫・田鎖源一氏と友人だったので、そちらから資料をお借りし、また、福岡氏は田鎖綱紀の伝記を執筆したことがあったので、それをそっくり松本清張に渡したのだそうです。

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「とっておき名短編」北村薫 宮部みゆき編(ちくま文庫)

宮部みゆきが松本清張の「電筆」をセレクトしています。

林真理子をして「松本清張の娘」と称された作家・宮部みゆきは、かつて速記の仕事をしていたことがあるそうです。

日本の文学の発展に「速記」が少なからず関わっていることは、とても興味深い点です。

速記というと、速記符号を書くことに注目がいきますが、むしろ、正しく聞いて、話し手の意図通りに文字化することこそ、速記の大事なところ。

速記者は、常に専門用語などを学び、正確に記録します。
録音技術が取り入れられてからも、国会でも速記者はなくてはならない存在です。

私も講演などでメモを取るときなど、「速記が書けたらいいのに」と感じます。実際に耳でよく聴き、手を動かし、脳をフル回転させ、文字化していく速記。五感を使うので、ボケ防止にも良さそうです。

明治23年に帝国議会が開催された時から、完全な議事録が残っているのは、先進国では日本だけです。
田鎖綱紀をきっかけに「速記」の世界に少しだけ触れることができ、実り多い「速記交流会」でした。

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日本の速記130周年 『速記の日』展示・講演会のポスターを基にデザインされたトートバッグを買いました。

大変洒落ていて便利です。

 

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