2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

« NHK 「SONGS」大瀧詠一特集3/19 | トップページ | ヤマボウシを植えました »

宮沢賢治の朗読会at月島

2016年
3月21日(月)
16日はもんじゃ焼きで有名な月島へ。
宮沢賢治の朗読会でした。

会場は「CAFE’虔十(けんじゅう)CRAFT」。賢治の童話「虔十公園林」からとったそうです。

Photo

朗読は谷口秀子さんと「風と雲とまるめろ」と「べんべろ」の皆さん。

CAFE'虔十CRAFTは、自然の木を生かした、ゆったりとした店内。もう朗読は始まっていました!

最初の童話「山男の四月」は、最後の方しか聞けず残念!・・・山男は、「狼森 笊森 盗人森」に出て来る山男みたいなのかしら?

詩「鳥百態」と童話「林の底」を聞きました。

「林の底」は、白いフクロウがもっともらしく語ります。

むかしむかし、鳥は皆白い色だった!それをとんびが「染料屋」になって、鳥に色や模様をつけていた、というから面白い。その染め方がなかなか詳細で念に行っている。賢治の想像力の翼のなんと大きなことか。(「あさが来た」でとんびが空を飛んでましたが、いかにも手(羽)が長い。染物屋に向いてそうです。)

休憩して「風と雲とまるめろ」主催の谷口秀子さんのお話。

谷口さんは宮沢賢治の作品を花巻弁で読む、語る”銀河のかなたへのメッセージ”を続けてきました。(1992年〜2011年)様々な音楽と共に、語られる賢治の世界。素晴らしかったでしょう。

今はお住まいの月島にて月1回「イーハトーブの風をもらって」宮沢賢治の作品を読む、語る、話す(花巻弁で)を開催しています。

谷口さんの父上は稗貫農学校(今の花巻農学校)で、賢治さんに教わっているそうです。そして、谷口さんは父上が書いた「フランドン農学校の豚について」という、稗貫農学校で実際にあった話をしてくれました。

「フランドン農学校」=「稗貫農学校」で、賢治先生が就任した年。実際に飼われた豚がと殺され、食べる授業があったそうです。当時の校長先生は太っていて「ピッグ」というあだなでした。校長先生が豚の首を最後にかき切ったので「ピッグがピッグを切った!」と、生徒たちがはやしたそうです。

そんな実際の話を聞いた後に、童話「フランドン農学校の豚」の朗読を聞くと、まるで情景が見えるようで、生き生きとしたものになりました。

家に帰って、りろ書房の店主川西氏に借りている「校本宮澤賢治全集第八巻」(筑摩書房)を手に取ったら、「フランドン農学校の豚」が載っていた(偶然!)ので、引用します。

Photo

Photo_3

              宮沢賢治の原稿の写真も載っていました。

                  ※クリックすると拡大します。  

Photo_4  

  

「フランドン農学校の豚」〈初期形〉

[冒頭原稿数枚なし]

以下の物質はみなよくこれを採りて脂肪若しくは蛋白質となし体内に蓄積す。」

 とかう書いてありましたので金石でないものは片っ端から何でも持って来てはふり出すのでした。

 尤も豚の方では生れつきさう云ふ工合でしたからよくなれていましたしいやだとも思ひませんでした。(略)その生徒が云ひました。

「ずいぶん豚とふものは奇体なもんだ。水やスリッパや藁をたべてそれを上等の脂肪や蛋白質に合成するんだ。豚のからだは生きた一つの触媒だ。白金と同じことだ。無機体の白金有機態の豚考へれば考へる位変になる。」

 豚は自分の名前が白金と並べられたのを微かに聞きました。そして豚は白金が一匁三十円することをよく知っていましたから自分の身体が二十貫でいくらになるといふ勘定もすぐ出来たのでした。豚は耳を伏せて眼を半分閉ぢて前肢を曲げてその勘定をやりました。

 20×1000×30=600000 六十万円です。(略)

と、このように大変頭もよい豚でしたが、豚毛の歯ブラシを見てギョッとしたり、ムチでピシッと打たれたり、食べたくない餌を無理矢理食べさせられたりと、ひどい仕打ちを受けます。

いよいよ殺される一ヶ月前に、その国の王からお布令が出ました。

「家畜撲殺同意調印法」というそれは、家畜を殺そうという者は、その家畜から死亡承諾書を受け取る必要があり且つその証書には家畜の調印を要するとか云ふのでありました。

そこでその頃は牛でも馬でもみんな殺される頃には主人から強いられて証文にペタリと爪印を押したものであります。としよりの馬などはわざわざ蹄鉄をはづされぽろぽろなみだをこぼしながらその大きな判を証書に押したのであります。

主人公の豚は、大変頭が良いですから、もちろん必死で抵抗します。しかし、校長や畜産の教師は、餌を食べさせたり、休ませたり、運動させたりして、あの手この手で豚を太らせようとします。しかしなかなか豚はいうことをきかず、やせていきます。

物語は、豚と人間たちの攻防が繰り返されます。そこには、賢治の得意なキラキラしたオノマトペは見当たらず、胸にぐさりとくる諷刺のお話です。徹底的に人間を醜く描いている一方、豚はとても美しく、自覚を持って「殺される」姿が、痛々しい。と同時に「肉」を食べている自分に突き刺さる。

とても怖い怖い話です。

このお話は、人間の醜くさを描いているところが、「ガリバー旅行記」(スウィフト)の「馬の国」を思い出します(人間によく似た生き物はヤフー)。

アイルランド出身のスウィフト。アイルランドと東北地方は、似ているとは思っていたけれど、物語を紡ぐ土地柄、という点でも共通しています。

花巻市には「白金豚」というブランド豚がありますが、この「フランドン農学校の豚」から引用されたそうです。豚の身体を「白金」と、讃えた賢治。この物語を知って、私は小綺麗でご立派な賢治のイメージが変わり、前より好きになりました。

谷口さんの朗読は、流石の迫力でした。豚はあくまでも悲しく。校長や畜産の教師は憎々しく演じ、引き込まれました。この朗読の会は月に1回。1000円。コーヒーとお菓子付き。

朗読会の最後に「ポランの広場」と「星めぐりの歌」を、皆さんで歌いました。

歌うと、場が1つになるから、不思議。「ポランの広場」は、初めてでしたが歌えました。

「星めぐりの歌」は、「あまちゃん」にも出てきた有名な曲。年のせいか、胸にグッときて涙が出そうになりました。

次回は、4月20日(水)午後2時から同じ会場で朗読会があります。

「春と修羅(序)」、「タネリはたしかにいちにち噛んでいたやう」(童話)、 「毒もみのすきな署長さん」(童話)、「台川」(童話)なそうです。知らない話ばかり。賢治は奥深い。

谷口さんとは、「二月会」のパーティーで知り合いました。

早池峰山にも登られたそうです。そのお話を聞いて、やっと私も「賢治の森」に足を踏み入れたところです。

« NHK 「SONGS」大瀧詠一特集3/19 | トップページ | ヤマボウシを植えました »

出会い」カテゴリの記事

岩手」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1167966/64494780

この記事へのトラックバック一覧です: 宮沢賢治の朗読会at月島:

« NHK 「SONGS」大瀧詠一特集3/19 | トップページ | ヤマボウシを植えました »