2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

« 待ってくなんしぇや | トップページ | エーデルワイン試飲会atいわて銀河プラザ »

りろ書房の最終日は、しみじみと

12月2日(日)
「ブログは暫くお休みします」、と書いた舌の根も乾かぬうちに、もう書いてます。

11月30日。「りろ書房行くかい?」と、夕方5時頃旦那さんが言った。
最後の日なので、初めて2人で一緒にりろへ行く。
Photo 正面から見たりろ書房。表の雑誌の棚がきれいになっている。段ボールが積まれていて、胸が痛い。
中はお客さんでいっぱい。みな、思い思いの本を選んでいる。
Photo_2
本の目利きの御主人が選んだ、個性の強い本たち。
Photo_3 この本屋さんは、宗教や歴史・思想の棚がとても充実していて、いつかこれを買おう、これも買おうと楽しみにしていたのだが、誰かがまとめて購入したらしい。綺麗になくなっていた。
内澤旬子の「世界屠畜紀行」を初めて見たのもこの本屋だったし、「ちりとてちん」が放映中(現在BSで再放送)は、「上方落語 桂米朝コレクション」(ちくま文庫)にハマっていたし、雑誌「噂の真相」を買うのも、「さぶ」を覗き見したのも、この店だ。

子育て中は「母の友」(福音館)を定期購読していたので、りろに本を受け取りに行ってはおばさんとおしゃべりするのが楽しみだった。

Photo_4

上の方に掛かっていた絵。以前はここに猫ちゃんの写真が飾られてあった。

最後の日にはおばさんへ歌のプレゼントをする、と決めていた。(いざ、お客さんを目にしたら、ウッと気後れする。)

先日おばさんにプレゼントした歌声喫茶「ともしび」の歌本から、選んでもらうことにした。

雪の降る街を」「ペチカ」(どっちも雪のない東京では不似合いだったけど)

突然の歌に、周囲は意外と平然。しかし居心地悪そう!

そして最後に「叱られて」。私が大好きな曲でもあるのだが、おばさんは

「私が好きなのは『叱られて』よ!」と言ってくれた。哀愁があって、ドラマチックで、すばらしい日本の歌だ。

歌っている途中で、近所でパン屋を営んでいたNさんがいらした。保育園時代一緒だったので懐かしい。パン屋(リトルマーメイド)は、昨年閉店したのだ。その時も半身がもげそうなほど悲しかった。Nさんは、お店を続ける苦労をよくわかっている。りろ書房も、おじさんとおばさんが共に90歳を越えているのに、よく頑張ったわよ〜、もう自由になっていいんじゃない?とおっしゃっていた。

でも、大好きなお店がなくなるのはやっぱり辛い。

りろ書房がもうすぐ閉店、と知った時、涙が出た自分に驚いた。

それほど、このお店が心の支えになっていたのか。

最後の日に集まったお客さんは、皆おばさんと長くおしゃべりしていた。

私が欲しい本は、やはり宮澤賢治。御主人が賢治好きなので、ちくま文庫はもちろん、色んな賢治の本が揃う店だったのだ。

Photo_5

Photo_6

箱を出してみたら、小冊子「イーハトヴ通信」が入っていた。

「当時はこういう物が入っていたよね。」と旦那。

Photo_7

右下の著者名を見て驚いた。高校時代の恩師の名前があったから。

Photo_8

吉見正信先生。大迫高校時代の古文の先生。宮澤賢治の研究家で著作もある。

まだ「宮澤賢治記念館」が建つ前の1980年の出版だった。

もう1冊の本は、りろ書房らしい、個性の強い本にした。

Photo_9

茅葺きに特化した本は初めてなので、とても楽しみだ。

本を抱えた人の列で、お店は温かくなっていた。

Photo_10 りろ書房名物のブックカバー。うれしい。記念に何枚かいただく。

後で旦那さんが調べてくれた。(いい人だ!)

Photo_11

元々は正倉院にある御物。

花氈 第21号
(かせん)
分類:〈用途〉 調度   〈技法〉 染織 
倉番: 北倉 150
寸法:長240 幅129

この文様をブックカバーに選んだご主人のセンスが渋い。

その日、おじさんは体調が今ひとつなようで、早々に休まれていたが、おばさんから

「昨日おじさんが詩を書いていたから、どうぞ。」と、コピーをくださった。

Photo_12 Photo_13

ここにりろ書房の店主・川西健介さんの詩を清書致します。

りろの途(みち)

「君、途(みち)を途中で止めるのは、いけないね。」

「すみません、すみません。とてもからだが痛いので。」

                 りろ書房店主 川西健介

                  二〇一三 下手な詩で

                      なおすみません

 

曲がりくねった途もいい。

だけど飛び飛びであっては困る。

曲がりくねって行く途もいいが

しかし途切れ途切れであっては困る。


曲がりくねってゆくうちに

太ったり痩せたりする途も悪くない。

 だけど途が全部広場へあるいは広っぱへあるいは海へ山へとすぐ

 ぶつかって消えるのはあまりよくない

 

どこへ行くかわからない、けれどどこまでも行く途がいい。

 よれよれになった男がその途を行く。

 よぼよぼになった女がその途を行く。

 あげくのベンチで休めたら申し分ないというもの。

 

いや、いや、本が読めるゆとりある

 すいた道、あぶなくない途が一番。

 晴れた日の、温かい日の、本読みながらの散歩道。

〈私にとっての一番の本〉の途。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

りろ書房さん、本当にお世話になりました。

沢山の知を、はげましの言葉を、くつろぎの空間を、やさしく効く軟膏のように、おじさんやおばさんの言葉がささくれ立った心をいつだって柔らかくほぐしてくれました。

残念ながら、本屋さんはなくなってしまうけど、商店街でお二人にあったら、(今まで苦手だった)立ち話を思い切りしたい。

お店の最後の日には間に合わなかったけれど、お二人に何か贈りたいと思っています。

« 待ってくなんしぇや | トップページ | エーデルワイン試飲会atいわて銀河プラザ »

出会い」カテゴリの記事

コメント

私はまだ年賀はがき何にもしていませんcoldsweats01
ぼちぼちとは思っているのですが・・・sweat01
年賀はがきが完成してら見せてくださいねrock

里山さん、おひさしぶりです!
我が家の年賀状は来年1年名刺代わりにもなるので
冬の仕込みみたいな、紅白歌合戦みたいな大イベントです。
もちろん、完成したら、来年公開いたします。

里山家のクリスマスや大晦日は、大変な御馳走でしょうね!

さびしいですね。
味のある個人商店が続々となくなっていき、人との繋がりも希薄になっていくような時代ですね。
昔が良かった・・・・と思うのは歳をとったということでしょうかね?
だけど、心豊かに過ごして生きたいものです。

stage402さん、こんにちは。
そうなんです。小さな商店街ですが、味のある、個性の強いお店がどんどんなくなってきて、寂しいかぎりです。
昔がよかった・・・とは思いますが、今なりに、自分たちなりに
繋がりを作って、心豊かにしたいものです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1167966/54127234

この記事へのトラックバック一覧です: りろ書房の最終日は、しみじみと:

« 待ってくなんしぇや | トップページ | エーデルワイン試飲会atいわて銀河プラザ »